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小林よしのり
2014.12.31 04:17

政府の税制改革について


自公政権が税制改正大綱を決定し、大企業・富裕層優遇

の税制を発表した。

政治献金をがっぽりもらっている企業を優遇するのは、

彼らにとっては当然なのだろう。

これで格差はさらに拡大することになる。

 

法人税減税の恩恵を受ける企業は、全企業の3割に

過ぎない。

一部の輸出向け大企業が恐る恐る賃上げしたとしても、

トリクルダウンは起こらないし、賃上げは正規社員だけ、

非正規社員には関係ない。

 

興味深いのは贈与税負担減の方だが、相続税を払う

くらいなら、生前贈与でと考えるのは、富裕層だけの

ことだ。

60歳以上の世帯の平均貯蓄残高は1300万円から

1500万円だそうで、たったこれだけの貯蓄を子供に

贈与してたら、老いぼれたときに子供に捨てられる。

3000万円以上の貯蓄があるのは2割しかいないそうだ。

 

わしが驚いたのはこの2割に、わしの母が入っていた

ということだ。

父が死んだときに、4から5000万円の貯金があり、

わしは1円も相続していない。

わしが買ったマンションにタダで住み、毎年わしから

こづかいを送ってもらい、その上、年金もあったのに、

母はそのお金のほとんど全部を、氷川きよしの追っかけや、

他人への奢りで使ってしまった。

 

個人的な話ではなく、老いれば老いるほど、人間は我欲が

最大限に強くなる。

自分のことだけしか考えられなくなる。

子供のことや社会のことを考える老人は、貯蓄1億円以上

の富裕層くらいのものか?

 

一方で貯蓄ゼロ世帯が4割に迫っている日本社会だ。

日本の老人のほとんどが、自分がいつまで生きるか

わからないから、子供に贈与なんかしない。

人間はカネで動くのであって、子供もカネで従うと

思っているから、贈与税の負担軽減なんて、カネが

余り過ぎている超富裕層の話に過ぎない。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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